仕事と晩飯とその他

日記です。

「(出荷した商品が店頭で)実際に買われる率」

出版産業従事者なら皆知ってるK書店のPで表示される「消化率」が気になっている。「入荷に対しての実売の率」という、しごくシンプルな指標。

自分の中での前触れは、先日、目黒のA社の説明会資料での「表示回数×購買率×単価」という指標。これもえらくシンプル。A社は購買率を上げるための施策としての「在庫表示の改善」を薦めているわけだが、これ見て俺はその場では単価についてのことばかり考えてしまった。

で、その資料を出版社の現状に単純に当てはめると、「出荷数(店頭での露出)×(出荷した商品が店頭で)実際に買われる率×単価」となる。

多くの出版社は出荷数というか店頭での露出を高めるという点を重視している。店頭にモノがあるということの宣伝効果を考えてもその戦略は基本的に間違っていないとは思う。で、単価についてももちろん常に考えているし、出荷数(店頭での露出)が極端に少ない出版社の場合はここを高めに設定することで売上を維持しているわけだ。

問題は「(店頭で)実際に買われる率」だ。これをK書店のPでは消化率としている。

実売に関連した指標として「返品率」が業界を席巻している。売れなくて返されてしまうという現状を改善することは売場の効率化にもつながるしオペレーションコストの軽減により利益も大きく改善される。

それはよくわかる。返品率を下げることに異論はない。が、それだけではジリ貧になってしまう危険性も常に感じている。また、同時によく言われる「回転率」については大きな危惧を感じている。そこ、あまり厳しくしだすと「棚を形作る本」が落ちてしまう。

とは言うものの、出荷したものが売れなくては話にならない。

返品率と「(出荷した商品が店頭で)実際に買われる率」には間違いなく相関はある。売れる本は返品は少ない。

が、完全に一致するわけではない。なぜなら、市中に在庫する分があったりするから。そして、店頭での露出が極端に少ないにも関わらず客注などを中心に動いている商品などもあるから。採用品なんかもその流れで考えられる。

「(出荷した商品が店頭で)実際に買われる率」+「(店頭に)在庫として残る率」+「返品率」で100%になるのは発売時からずっと数字を追っている場合で、途中の時点で見ると違う値になる(当たり前か)。

買切を前提としなければどうしても返品は発生する。出版社としては出荷した商品は売れておしまいになって欲しいがそうとばかりは限らない。

そんな実態をあらわす指標として「消化率」というのは面白いかもなあ、と思い始めたのが最近の状況。

実際に自社のアイテムについて少しだけ見てみた。なんというか、どのぐらいの数値をよしとするのか、とか、新刊の初回の配本をどう考えるのか、などなど課題はあるのだが、「こりゃダメだ」というアイテムについては明確に低く出てくるのは確かなようだ。それこそ、総出荷数に対して15%とか、そんな数値が出てくるアイテムがある。出てから3年後ぐらいには納品と返品が拮抗してしまい、わずかな実売があっても在庫はほとんど減らない。で、その辺になると「その時点で出したのが売れたのか、それとも過去に出したものが売れているのか」そのあたりが気になったりもする。のだが、その「納品と実売の関係」をよく見るとリアル・オンラインでの客注であったりすることもないわけではなく。

店頭で売れる・売れないの指標になりうるのかもしれない。

もう少し複雑に考えるべきなのだろうか。

とにかく、そのあたりが面白い。もう少し考えてみたい。