仕事と晩飯とその他

日記です。

売れるのが面白くなければしょうがない

昔から思っているが、「売れる本を売る」の、いったいどこが間違ってるのか、さっぱり分からない。売れないものより売れるものをもっと売ったほうが商売も繁盛だし、そもそもバンバン売れたほうが面白いじゃんか。

「売れる本を売るのと売れない本を売るのでは難しさが違うから後者のほうが面白い」ってことなら売れない本を頑張って売ればいいじゃないか。本屋の店員の何が特権だってそれができるってことじゃないですか。

出版社の営業は、出たものを粛々と、関係各所から「お前らのせいで売れないんだ」みたいなこと言われてむかっ腹立てようがなんだろうが、最終的に廃棄を作らず一冊でも多く売るのが仕事なわけですよ。売るものは選べないし選ばない。

言い方はあれだが、店頭にズラッと並んだ諸々の本と比べると売れてない本を売らなきゃいけない時もある。そういう時ばかりかも知れないが、そういう時ばかりであっても売らねばならん。それは意外と面倒くさいし大変だ。まあ、だからと言って、つまらないというわけでもないんだけど。

だからこそ出る前に編集と揉めるわけですよ。「出ちゃったらなんとかかんとか売るけど出る前にもう少しなんとかならんか」。ある意味正しい道筋だと思うけどなあ。

たった一回でも、自分で選んだ本がドカスカ売れて、みたいな経験しちゃったら本屋の店員って魅力しかなくなると思うんだけどなあ……。それでも売上で癒されないタイプのヒトはキツイか。それは本屋がどうこうではなく商売に向いているか否かの話なのかなあ。もったいないなあ。

なんだかんだで「売上はすべてを癒す」(中内功)と俺は思ってるんだけど、売上で癒されないヒトは本を売るほうじゃなくて読むほうに徹したほうがいいんじゃないかなあ。もしくは作るか。それはそれでひとつのあり方だと思う。「売る」だけじゃなくて「売れる」ことが面白くなければ商売はやめて正解だと思う。