仕事と晩飯とその他

日記です。

売れるともっと面白いですよ

知らない人でもないのであまり毒のある話をどうこうという気はしないのだが、本当に自信を持って「買ってくれる人がだいたい決まってる」なんてオレは言い切れないなあ。「自然に売れる数しか売れない」というのもオレにはさっぱりわからない。

買ってくれる人とか売れる数があらかじめわかってるってことなんだろうか。そうだとしたら、それはとてつもない才能だ。ゴルゴ13の言葉を丸ごと借りてオレの気持ちを表現すると「オレはそんなに自信家じゃない」。

まあ、どうやったところで当たり外れもあったりするのが出版の面白いところなのかもしれない。

読者との出会いの場やタイミングを広げたり増やしたりとか、あまり顕在的なニーズを抱えていないところにさほどの効果の期待できない媒体で働きかけたりとか、他にも諸々やった結果としての手堅い売上には満足できないこともあるけど、それもまあひとつの在り方であろうと思うようにしている。

その辺の小学校とか中学校の全生徒数ぐらいも売れない本なんていくらでもあるけど、それが全てというわけでもない。もうちょっと、東京ドーム一杯にするぐらいとか、その辺ぐらいまで考えたらやること変わって当たり前なんじゃないすかね。どうでしょうかね。

「客があまり来ない静かな喫茶店をやりたい」とか「自分と趣味のあう極々少数の客だけが訪れる静かな古本屋をやりたい」みたいなニーズは否定しないけど、副業でそれやるのと専業でそれやるのとではやること違って当然じゃないすか。

副業で趣味の出版社ってヒト、実は意外といたりするけど、それはそれで羨ましかったりもします。残念ながら出版を副業にできるほど別で稼げないので真似できないけど。

でも、それも一点なんだ。それも一冊なんだ。大手出版社の本と趣味の出版社の本が書店の同じ棚に並ぶことがあるという世界。それも出版の醍醐味なんだろう。まあでも、くどいようではあるが、規模が違えばやってることは全然違うかも知れないわけでどっちが正しいってことでもないはずなんだけどね。

作るのは自由だ! 売れないのも自由だ! でも、売れない本でも運べばコストかかるし店に置けば空間も占有する。小売や流通がそういうコストや手間にいつまで付き合ってくれるかはわからない。だから、出版社は売れる本(って言ってもミリオンとかじゃないけど)作らないとね。オレはそう思うんです。

だから、どんなに「いい本だ」とか「出版って楽しい」みたいなこと言われても売れないことを前提に話されちゃうと色んな意味でがっかりしちゃったりすることあんだよね。

売れない本があることなんてオレも知ってますよ。売れなくても面白いっていうのもわかります。でもですねえ、売れるともっと面白いですよ。

ミリオンじゃなくても、例えば増刷したのが綺麗に掃けて次の増刷とかでもその充実感たるや。売れる楽しさって作る楽しさとはまた別格のものがあるんだけど、そういう楽しさも知って欲しい気がするなあ。

本当ですよ。