仕事と晩飯とその他

日記です。

出版不況は第二ステージへ

出版不況という言葉は好きではないが他にうまい言葉が見当たらないので。

書店の数は減っている。取次も減った。が、新刊刊行点数は増えている。出版社の数も減っていない、いや、むしろ増えている。

合従連衡によって実質的な意味においての出版社(発売元)の数を減らしていこうという動きは以前からあったがあまりうまくいかなかった。企業文化などの違いによって合従連衡そのものがうまくいかなかったのももちろんだが、スケールメリットを生かしたローコストオペレーションの実際が見えにくかったのも大きい。というより実際には規模が大きくなることでコストも膨らんでしまったという例すらあったようだ。

このあたりの事情は既に変化しており、今は危機に陥った出版社の救済という名目で実質的な合従連衡(というか吸収→レーベル化)が行われつつある。コアになってる出版社はいくつかあるが、うまく行ってるんだろうか。

それでも出版社の数が減らないのは新規の出版社が多いからだ。諸々の事情による大手・中堅からのスピンアウト組が目立つが、自費出版の延長も多い。

出版社の数は減るとずっと思っていたがオレが間違っていたようだ。これからさらに増えそうだ。特に自費出版の延長の自分出版社は増えてくるはず。

これから起こることは選別だ。新刊・既刊を全国の書店で普通に取り扱われる出版社とそうでない社に分けられる。誰が分けるのかと言うと書店と取次だ。

実は今までもそういう傾向はあった。これからはそれがさらにはっきりとした形になってくる。物流や商品選定などの段階での差は最終的な売上規模の差として目に見えてくるようになるはず。刊行点数は問題ではない。

振り分けは目の荒いザルで出版社をすくうような、そんな荒っぽい方法で既に始まっている。そのザルに残れるか否かは規模の問題に関わるが出版社の生き残りにとっては重要ではないかもしれない。従来の発想だとザルの中に残ることが生き残りの必須項目だった。が、事態はさらに複雑化した。ザルの外でも生き残ることはできる。ザルの中でも生き残れない場合もある。ザルの中と外では別物だという認識を持ったほうがいいのかもしれない。当然のことながら生き残りのための方策も別物だ。

ところが自分のいる社はザルの中でないと生き残れないタイプの出版社だ。にも関わらず大きなハンデがある。

今年もキツイ年になりそうだ。