仕事と晩飯とその他

日記です。

売れる理由売れない理由

Y氏の立ち上げた某社の本が28万部だと聞いて驚く。すごいな。第二弾も売れそうだ。んー、微妙な線で、俺的にはいまだにどうしてアレが売れるのか理解できない。そのあたり、自分自身の大きな壁だ。

某社の本はいよいよ第3刷。刷部数の判断はもちろん先方だが、自分としてはまだ思い切った数はすすめられなかった。諸々ネックはある。追加補充で回っている部分がまだ見えてこない。メディアへの露出が始まりそうなので思い切ってもよかったかも。部数には常に後悔がつきまとう。いや、そうは言っても決めるのはオレじゃない。というか、オレがそれ決めちゃいかんでしょ。

売れる売れないについてはもちろん内容が云々ということはあるとは思う。が、どうもそれだけじゃないってことは皆が思っているし、実際にそれだけではない。内容と言っても様々だし、なんというか、一直線ではない。

自分は常に「内容以外での売れる売れない」を考え続けている。

以前から考え続けているのは「読み易さ」の問題。内容のとっつきやすさではなく、文章の読み易さとかフォントとか余白とかレイアウトを含めた「読み易さ」。そのあたり、新書や文庫といった文字だけでフォーマットの定まった本であっても出版社によって随分違う。一昔前の本でも意外と読み易いものは少なくない。むしろDTPで色々いじっている本のほうが読みにくさを感じることがある。雑誌の紙面などでも凝った作りより要素の少ないもののほうが読みやすかったりする、あの辺と関係はある。

電子書籍の云々の時に思ったが最近の本はレイアウトの要素が多くなりすぎているのかも知れない。洋書のあまりに簡単なレイアウトと比べて日本の本は凝っている。それが必ずしも読み易さにつながっているわけでもなさそうだ。洋書でもDTPゴリゴリでレイアウトに懲りまくりフォントも最新のものを使ってといった本で読みにくいものがあったりする。電子書籍でもフォントや余白が話題になるが、紙の本でもそれはまったく同様。「読む」ことに集中できるか否かは本作りにおいて重要な課題だが、どうもそこに諸々盛り込むことがプラスに働いていないのではないかという懸念が拭えない。

分量についてもよく話題になるが、店頭で手に取った時(本文は見ていないが束厚や重さはわかる)と、ぱらっとめくった時(本文のレイアウトやざっくりとした文字量などがわかる)では、印象はかなり異なる。それとは別の課題として、ネットやカタログで表紙だけ見た時と現物で分量の感じが違う本というのも多々ある。これも印象でしかないが、表紙画像だけ見て大きさが想像できない本は売れていないように思う。文字やイラスト・写真などと表紙サイズのバランスなのだが、これが、画像だと大きく見える(が実物は小さい)と、画像だと小さく見える(が実物は大きい)という本がある。前者のほうがイマイチ動きが悪い(当社では)。

売れない本にも色々あるが、お店に並んでいるにも関わらず売れない本というのに一番興味がある。なんというか、そこまで行くともう少しのはずなのに、最後の一線を越えられない本たち。

広告媒体によって読者層が違うのは当然なのだが、広告宣伝がはまって出荷が多いのに売れない本、つまり、期待感はあるわけだが、現実に手にとって中を見られると途端に動かなくなってしまう本。それらの謎を解きたい。

上記の「期待感だけは高い本」だが意外とネットでの数字は上がってしまうことも多い。ネットは現物見ないで買うので期待感がそのまま購買につながる例も少なくない。で、リアルでは動かなかったりする。

もちろん、そのまったく逆でリアルでは動くのにネットでは動かない本というのも確かに存在する。期待感とかワクワク感みたいなのが足りないんだろうなあ。ウチはどっちかというとそっち側か。

並んで手に取られてそれで売れない。現実はほろ苦いが、そういう本は少なくない。で、そういう本についてはネットで売れてるからリアルでも売れるはずだというのはどうやらちょっと違うんだな。つい最近になって気がついた。

どちらが実力かと言えば間違いなく本屋で売れる本だとは思う。