仕事と晩飯とその他

日記です。

大手と小零細の差について

書籍出版に関して話を絞ると大手も中小零細も編集・制作・書店営業・流通(取次通していれば)にあまり違いは無いのでは、ということは自分も思います。特に部数の少ない書籍の場合。

ですが、細かいところを見るとやはり大手と中小零細とでは違うところも少なくない。取引条件(特に付帯条件)や物流倉庫、取次とのEDI、実売データの収集や書店情報の管理などはけっこう違います。

大手では当たり前になりつつある書店の実売データ、P-NetやPubLineも、小零細では「金額的に無理」だとか「よくわからない」であったり。

物流効率化の前提となる新出版ネットワーク(いわゆる出版VAN。取次と出版社(もしくは物流倉庫)をダイレクトにつなぐEDIの仕組み)についても、「導入するとどうなるの」とか、それ以前の話として「聞いたことも無い」であったり。

新規店の開店依頼や廃業店舗の情報も小零細まで行き渡ってはいません。共有書店マスターを使っている社も300ちょいのはず。「小売の現場である書店に働きかける」ための前提となるリストのメンテナンスの段階で引っかかってしまう。

オンライン書店での在庫表示の話がよく出ますが、直接当たるなり取次を経由するなりでもなんとかするための筋道を理解している社には何ということもないわけです。が、情報や接点が無ければ「何がなんだか」になってしまう。そして闇雲に怒ったりする。「ウチの倉庫にある本がどうして在庫切れなんだ」、その倉庫の情報を外部の人間がどうやって知るんでしょうか。

ことほど左様に、大手と小零細では情報そのものの入手に大きな差があります。昔はそれでも困らなかったんですよ。取次さんが何でもやってくれたから。その頃のことを良く覚えている方々は「なんで今さら自分達で頑張らないといけないの?」とか言いますよね(実は中堅どころに多いです)。

結局、「小零細のほうが今までずっと取次におんぶに抱っこで何もして来なかったのかも知れない」という気持ちも自分にはあります。

大手と小零細で同じ事をやる必要など無いのに「小さな大手」であろうとしたり「取次任せ」であったり。そこに気がついて、「小さな大手」ではなく独自の道を模索した社はある程度の結果を出しているのかもしれません。

そんなことを思います。