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日記です。

続 大手と小零細の差について

大手と小零細の差は大手に有利なばかりでもありません。

大手と小零細(特に新興の社)との差として条件面の話が取り上げられることがあります。確かに数字として差がある事は少なくありませんが、売上や利益の面においてはその数字の差はそれほど大きな差になってはいないように思います。

条件面での差が利益での大きな差にならないのではという理由は、小零細における原価削減への取り組みです。以下、いくつか具体的にあげてみます。

1.印税率の見直し。大手は自動的に10%のところが多いようですが小零細では8%や6%、初回の刷りは5%や無し(!)などという話も。現物での支給というのも聞いたことがあります。

2.実売印税の実施。印税は通常は印刷した部数に対して発生しますが、小零細ではこれを見直し、売れた部数に対する印税のみを支払うという考え方で印税を支払っている社も少なくありません。将来的な返品に備えて留保分を確保することによって結果的に増刷がなければ印税が発生しないという場合もあるようです。珍しい話ではありません。

3.著者による販売協力。「本を出したいヒトの本を出してあげるんだからお金もらいたいぐらいだよ」という話も聞いたことがあります。実際にもらうと自費出版ですが、社によっては新聞などの広告費の一部を著者に負担してもらったり制作協力金のようなものをもらう場合もあるようです。自費出版と重なる領域に突入しつつある話は聞きます。

4.製造原価の徹底的な削減。色々と工夫して削減するのはもちろんですが、印刷会社に泣いてもらう場合も少なくないようです。

5.社内で書いてしまう。著者(通常はペンネーム)が社内の人間という場合です。印税とかどうしてるんでしょうか。

6.改装しない。いわゆる「改装」を行うと付き物が消費されますが……。

他にも細々としたコスト削減の例を聞きます。

もちろん大手でもコスト削減に血眼になっている社がないとは言えません。が、印税など著者との関係性に関わる部分、物流・改装など小売との関係性に関わる部分は、あまりに当然の前提となっており、見直しの対象として取り上げられることもないのかもしれません。

新興のところは、条件が悪いことを克服するために、そういうこともやっています。そういう中での競争です。

大手が一方的に有利なわけではありません。