仕事と晩飯とその他

日記です。

ランキング問題についての疑問など その1

「でるべん」での質問用メモ。
<a href="http://www2.diary.ne.jp/search.cgi?user=173280&cmd=show&num=2008060651212709555&log=2014000594&word=番組見てないのでなんとも">先日の日記</a>
【疑問】他者の意見を元に本を買うという行為は昔からあったわけで、今さらそんなことが問題になるとは思えない。では、何が問題なのか。
【隠された主題】書店の課題として「仕入能力の向上」や「商品に対する目利き」が頻繁に指摘される。個人の能力の問題ではなく「書店(小売店)の自主仕入」を意味している。「書店の自主仕入」とは、つまり、今までの供給側の要求によって配本されてきた商品や(営業によって)押し込まれていた商品ではなく書店が選択した商品を仕入れる、ということだ。書店が小売店である以上、仕入の前提として「顧客の欲求」を見つめ直すのは必然だ。そのための指標として「ランキング」や「実売」が用いられることに違和感は全くない。「ランキングや実売を重視した仕入」は、「配本されてきた本を並べるだけ」「営業が押し込んだ本を並べるだけ」から脱却するための本気の試みと言える。だが、皮肉なことに書店が自主仕入に真剣に取り組み始めた途端に今度はそれに対する疑問が呈示されている。供給側の要求から顧客である消費者の欲求へと書店(小売)の視点が変化し始めていることこそが隠された主題であり、それこそが最大の変化であろうと思われる。マスセールスも「良書幻想」も、書店の自主仕入を問題にする視点が供給側の視点であることになんら変わりはない。
【もうひとつの課題】書評だけで売上が数万部は変わるという時代、書評は媒体により権威付けされ、評者も作家や評論家・学者といった、いわば供給側の内輪で固められていた。書店の仕入能力が個人の能力による「目利き」や「おすすめ」に限ったものであるとすれば、それは新聞や雑誌で権威付けられていた「書評」が売場レベルで再現されたものでしかない。そこに関わる「書店員」も供給側の内輪に近いものである。オンライン書店はメディアとしての意味と小売としての意味を持っているが、そのレスポンスに着目したマーケターの底引き網のようなやり方によってランキングが左右されている。マーケターは従来の「内輪」の書評家とは明らかに違う。アルファブロガーの影響力についても従来と異なるのは「内輪」ではないという点に尽きる。(この項続く)