仕事と晩飯とその他

日記です。

ローリスクローリターン

新風舎民事再生へ。

碧天舎の時は驚いたが、今回はさほど。

普通の出版も自費出版も、大きいリターンを期待して大きいリスクを背負ってしまうことがなければ、何とかなってしまう商売だと思っている。基本的にローリスクローリターン。一人でも気軽に始められる事業であることは間違いない。同時に、ある程度のリスクに見合うだけの規模を維持し続けることの難しさ。

エクスメディア山海堂、今回の新風舎などある程度の規模の会社が破綻すると話題にはなる。その一方で破綻こそしていないものの、規模を劇的に縮小して細々と生き残っている社もある。そういう社の話題はあまり出てくることがない。具体的な社名は避けるが、そこそこのヒットを出して景気がいい時は従業員も増やしたが今はまた一人、とか。そこまで極端なところは多くはないが似たようなところはいくつも挙げられる。

一人でやっているということはコストも最小化できている、と思われがちだが、実はそうでもない。原価から導き出される一冊あたりの粗利益なんて大手も零細もそんなに大きく変わるわけではない。中にはきちんと利益の計算をしないで値段をつけて「利益が出ない」と言っている社もないわけではないが、そういう社は出版がどうこうではなくそもそも事業としての利益の捉え方が違うのだろうと思う。副業があったりするとどうしても判断の方向性が変わってくる。いや、むしろ出版事業そのものが副業という場合も多い。出版だけで生活を支えるというのとコストに対する考え方が違うことはあってもおかしくない。

問題は派手にやったり夢があったりするそういう諸々に引き摺られて地味でつまらない商売をローコストローリターンでやるという前提を見失ってしまうということなのだ。

憧れを抱いて仕事をすることはいいことだと思うが、それだけでは金にはならんとそう思う。夢みたいな話はたくさんある。それらは全てファンタジーであるとオレはそう理解している。特に零細出版社なんて本当に儲からなくて世知辛い商売だし、一人ひとりの思い入れや小手先のテクニックがどうこうでなんとかなることにはすぐに限界が来るってことをよく理解しておかないといつまでも夢を見続けるだけになってしまう。退屈なルーチンワークをこなしていった先に希望の光が見えているわけでもない。でも、それはどんな商売だって、規模が小さければ当たり前の話だ。