仕事と晩飯とその他

日記です。

形があるからコストが発生する。

以前某MLでも書いたが、自分もロングテールについて疑問はある。メーカーとして捉えた場合、在庫の管理コストに見合うだけのロットが確保できるのか? いや、もちろんこれは在庫の資産評価だけの問題でなく、倉敷料や出庫手数料などかなり具体的な話題なのだ。

1年間に数冊、それならまだ諦めもつくが、1年間に二桁ぐらいだとやっかいだ。

復活する可能性というのは常にあるのだが、その「復活」ですら増刷・重版のロットに乗るかどうか。ビジネスがどうこうとかいう問題よりは「もったいない」って感じか? 重版しないことではなく、重版しても余ってしまうという可能性が。

本は多くの人が思っているより売れていないとよく言われるが、在庫や返品のコストに関して言えば出版社で働いている人間ですらよくわかっていないこともある。バブル期のあたりでそうした在庫管理に関する細かいノウハウも失われている感がある。昔の人の方がより細かいし正確だったりする。

雑誌の返品は(基本的に)全て破棄断裁、ということですら書籍しか扱わない版元の新人は知らなかったりするし、本の流通、その途中がどうなっているのかに至ってはこの業界で働いていてもごくごく一部にしか触れていないのだということをもっと自覚しなければ。

本は「モノ」なので在庫のコストも流通のコストも発生する。しかも「紙製品」なので簡単に痛む(逆に紙なので簡単には痛まないと言える要素もあるが)。

工芸品を扱っているつもりは自分には全くない。中味の問題が最も重要であることは踏まえた上で、大量生産される紙製品をどう扱うか。気持ちとか生き方の問題ではない。