仕事と晩飯とその他

日記です。

売れない本の一般法則として考えてみる。

<a href="http://plaza.rakuten.co.jp/kaikeishi/diary/200510080000/">山田真哉の「ベストセラー考」その1</a>|<a href="http://plaza.rakuten.co.jp/kaikeishi/diary/200510090000/">その2</a>|<a href="http://plaza.rakuten.co.jp/kaikeishi/diary/200510100000/">その3</a>

ちょっと反応が遅くなったが、この内容にはうなずける部分も多い。特にコンセプトと読者対象の絞込みについては異議は無い。権威主義的な業界人が多いことも思い当たる節は多々ある。「長くコツコツ売る」といういいわけに対して「最初に売れなきゃ長く売れるわけもないだろうが」という突っ込みについても全くそうだと思う。長く売るためには最初からある程度売れること、つまり、ある程度の読者が存在していることが前提だ。

で、そのうえで若干異論、というより「いや気持ちは分かるけど実態は……」というのは「本を作る以上いい本を作るのは当たり前だ」という話題。オレは「いい本を作るのは当たり前だ」と思っていない業界人も、結構な数存在していると思っている。いわゆる大手のメーカーなどのモノ作りと比べると、失敗した時のリスクが小さいせいもあるが、杜撰な現場が多くなってしまっているのが現状。人が怪我したり死んだりするようなモノじゃない、つまりはPL法に引っかかってくるような対象ではないから、ということもあるかもしれないが。品質に対しての意識と責任が薄い場合も多いのではないだろうか。もちろん、「ウチはしっかりやっている」という声はあると思うが、年間7万点に対して「粗製濫造」と思う人が全くいないわけではない。つまり、現在の出版不況の原因の一つは製造者側の問題であると自分は考えている。

で、全体通して山田氏の主張に対して思ったことは「とても分かるんだが、ごく一部の例外である「ベストセラー」の法則を一般化するのは無理があるのではないか、それよりも、一般的な「売れない本」のについてのほうが一般化可能なんじゃないか」ということ。全く同じ本を作ることはできない、という前提から考えると「売れた本」の真似をするより「売れなかった本」を反面教師にする、ことのほうが、自分にはより現実的に思える。

先日も某所で話が出たが商売として考えると「負けないように勝負を運ぶ」ことはかなり重要。一発を狙わなければ、思い込みに流されなければ、出版は「つまらないぐらい」手堅い。