仕事と晩飯とその他

日記です。

フォーマットの統一

無伝返品の実現にあたっては返品データフォーマットの統一というのは非常に重要な問題です。なぜなら、そのフォーマットがそれに連なる倉庫や出版社での業務をある程度規定してしまうからです。具体的にはコンビテナーやオリコン段ボール箱などの扱いをどうするかといった問題があります。これらについて各社毎の仕様を認めてしまうと検品作業の手順も変わってしまう可能性があるわけです。また、書店情報の取り扱いについても考慮する必要があると考えています。大手出版社が主導で始まったとは言え、共有書店マスターは現実的に小売としての書店のユニークIDとして今後活用の可能性がもっとも高いDBです。実売も納返品も書店のユニークIDがなければ統合できないわけですから、共有書店マスターを流通にも生かすための方策をそろそろ考えるべきではないのか、と思います。

先日の新文化ではポットの沢辺さんが配本リストの無償提供を呼びかけていましたが、配本リストを最大限に生かすためにはまず書誌データ(現時点では商品基本情報センターのDBが該当)及び書店データ(現時点では共有書店マスターが該当)の整備とフォーマット統一が必須です。さらには実売・納返品データフォーマットの共通化がなければ、せっかくのデータがあっても「宝の持ち腐れ」になる可能性もあります。

出版共同流通が稼動し始めた今だからこそ見えてきた問題もあります。逆送の多発によって結局手書きの処理が増えてしまったり、検品作業の効率化を図ったつもりが修正のためにより大きな負荷がかかってしまったりというのは誰も望んではいなかったはずです。また、一部の倉庫では返品の仕分けの効率化のためにソーターの導入などという話も出ているようですが、業界全体として取り組むべきは「いかに返品を効率よく処理するか」ではなく「いかに返品の少ない流通体系を築きあげるか」ではないかと思うのですが。

多くの版元に日本出版インフラセンターや倉庫ネット、できれば書店の現場も含め、取次とともにフォーマットの統一を考えるのであれば今しかないのではないかと思います。

今しかない、という危機感は、こうした「システム」に組み込まれることを拒否する(もしくは理解せずついてこない)出版社は、システムから完全に排除される可能性がある、という理解から来ています。出版産業と趣味の出版との境界線が決まろうとしています。