仕事と晩飯とその他

日記です。

ブックファンド

30日夜は英治出版の原田英治さんのセミナーに出席。

匿名組合の設立・目論見書・出資と償還・配当などなど、これが出版業界のセミナーなのかと思うような言葉が続々。批判的にとらえようと思えばいくらでも批判は出来ると思う(特に「志として出版」といった点について)。いわゆる出版業界的な知識に対しての反発もあるようで、そのせいで見えていないことがあるようにも思えた。が、何かちょっと好感も感じた。真面目で一所懸命だからだと思う。

「投資」という言葉に無条件に抵抗を感じ、「出版はビジネスじゃない、志だ」などと言いたくなってしまう気持ちをグッと抑えて虚心に話を聞き、疑問を投げかけていくと、「普通の投資というものは企業に対して行なわれるものだが、それを匿名組合という仕組みを利用して書籍単体に対して行なえるようにした」ということが見えてくる。と、同時にそれがもともと、「リスクの大きな企画出版という枠組みから脱却し、受注生産的な事業を組み立てたい」という気持ちから始まったことも分かった。

まあ、結果的に、一人が出資する匿名組合というのはどう繕おうが「自費出版」の変形であり、一般的な投資家を集める仕組みが出来てこない限りそう言われ続けるだろうし、従来の出版社の姿勢とは相容れない部分があるのはしかたがない。

出席していた銀行員が「リスクが見つからない」と言っていたが、あんた、そりゃ文芸社を筆頭とする自費出版系はみんなそうさ。だからこそ非難や羨望の対象となるわけで、その辺、もう少し見渡してみりゃゴロゴロあるよ、そんなとこ。

でも、文芸社の返品の件で話したように、実は従来の出版流通に歪をもたらす存在でもあるわけよ、その手の本は。だって、「売れないと困るもの」を前提として組み立てられた物流システムに「売れなくても困らないもの」が流れるわけよ。で、その辺の歪が「売れないと困るもの」を圧迫していく危険性にどれぐらいの人々が気がついているのだろうか。