仕事と晩飯とその他

日記です。

増刷と断裁の部数

断裁はできればしたくないが、キャッシュフローのことを考えると、売れる見込みのない在庫は切ってでも次を考えた方が良い。というのは理屈では分かっているが、やはりなるべく断裁せずに終わりにしたい。特に、キャッシュフローの問題で、つまり税務上の問題で断裁を選択する時、本来であれば切るべきでない在庫まで切ってしまうことをとても恐れている。

一度も増刷していない、つまり初刷りを断裁するのは屈辱だ。弊社も大多数の出版社の例に漏れず事前に新刊の見本書籍を作ったりはしない。取次搬入日は書籍が出来上がった日とほぼ同義語だ。そんな状態だから、新刊は「出してみないと分からない」のが本当のところだ。それでも断裁には、部数の読みを間違えた、商品の特性に合わせた充分な販促活動が出来なかった、という悔いが残る。いきおい、新刊の部数には慎重にならざるを得ない(それでも弊社の場合は最低5000、もしくは8000でスタートするが)。

期待を持って始めた以上、期待が裏切られることはあるわけで、手を尽くした上での断裁であれば諦めるしかない。幸いなことに今はPOSなどの実売データが分かる。在庫が分かるデータもある。店頭での目も当てられないような惨状は、営業だけでなく、編集も含め全社で共有できる。失敗(と言って良いと思う)はどこか特定の部署のや個人の責任ではなく、総合的に判断されるべきだ。新刊の廃棄は出版社としての失敗だと思う。

さらに敗北感を感じるのは増刷した商品の断裁だ。増刷は既にそれまでの実売の実績を見たうえで数字を決定できる。それを断裁とはどういうことか。増刷の部数決定にも現場の空気=営業の意見を反映させるべきではないか。増刷のタイミングと部数は、関連書籍(自社他社問わず)の動向や、それと関連した販促活動と切っても切り離せない。「作っただけでは売れない」というのは新刊についてだけでなく、増刷についても全く同様に当てはまる。たまたま最近の増刷はうまく回っているが、何もしていなくてもそうなのではなく、増刷時に、新刊並みとはいかないが、かなりの努力を行なった上での結果なのだ。

というわけで増刷の部数決定にはなるべく口を出すようにしており、月イチの増刷会議も提案しているが、今までが今までなんで増刷について安易に考えているようだ。何もしなくてそんな部数がサバけているわけではないことを全社的に意識してくれ、頼む。