仕事と晩飯とその他

日記です。

書店の商圏1

今回の紀伊国屋書店久留米店については、地元の久留米はもちろん、佐賀・熊本・大分、要は九州の北半分ぐらいが商圏になるのでは、と、ほとんどの人が予想している。駐車場のキャパシティとショッピングモール自体の集客を考えると、充分に考えられる範囲だ。駐車場が不足している天神(福岡市)地区への影響もありそうだ。

書店の商圏は、小売店の商圏の変化とも重なるが、時代の趨勢によって変化し続けている。変化の原因はクルマ型社会であるが、旧来の郊外型書店(雑誌・コミック・文庫・新刊本中心)は、クルマでの来店を前提とはしていたが、駐車場は狭く、あくまでクルマでお出かけの途中で立ち寄る程度の感覚だった。つまり旧来の郊外型書店は商店街の中小書店とお客を取り合う結果にはなったが、駅や百貨店(ショッピングモールなど含む)に立地する大型書店(専門書が充実)にとって脅威とはなっていなかった。さらにそこで奪い合っていた顧客はCVSで雑誌を買う層との重なりが大きかったため、現時点ではCVSに負けている。

郊外にありながら専門書を置く、という方法論は名古屋のらくだ書店の衝撃が大きかった(それ以前から様々な試みはあったが、あそこまで分かりやすく集客できたのは初めてではないかと思う)。らくだ書店は当初から大き目の駐車場を持っていたが、すぐに足りなくなって駐車場を拡げた。郊外の大型書店(専門書が充実)+巨大駐車場、という店舗戦略はこの前後を境として一気に増えるが、専門書店運営のノウハウに乏しい店舗は伸びていない。立地・店舗の構造は真似できても品揃えや商品調達に関するノウハウは簡単に真似できない、ということがわかるのに若干の時間がかかった気がする。札幌のコーチャンフォー・米子の今井ブックセンターなどは店舗戦略として共通のものを感じるが、書店としてのノウハウについても独自のものがあるようだ。上記の店舗の商圏は広い。クルマで移動だけでなく、わざわざその店に行く、というお客も取り込んでいる。これらの店舗は地元での一番店的な書店(紀伊國屋三省堂などの全国規模のチェーン店はもちろんだが、地元の老舗も多い)と客を取り合う結果となった。

カギとなるのはやはり駐車場だ。商店街の衰退は駐車場の不足が原因である場合も多いと思われる。

そんな中、当然の流れとしてブックデポ書楽が登場する。
(この項続く)