仕事と晩飯とその他

日記です。

リテレールが出てきた。

リテレール 1 特集●書評の快楽
●対談 批評の現在 浅田彰×高橋源一郎

1992年6月1日発行

季刊誌としての創刊であるにも関わらず表紙に「創刊号」や「季刊」といった文字が入れられなかった事情については巻末のスーパー・エディターズ・ノートで触れられている。

日販(本の問屋=流通と代金回収の要)の書籍仕入から流通上のコードの問題で「創刊号」といった表記が不可であるとの話を聞いたヤスケン。以下抜粋「日本はたとえ建前とはいえ、一応、言論、思想、出版の自由が保障された国ではなかったのか。この、あり得べからざる弾圧は、紛れもなく、「出版の自由」の圧殺であり、「検閲」以外の何ものでもないと僕は思う。」

当時の僕は書店員だったのでこの顛末には義憤を感じた。と、同時に、ヤスケンにはエディターとして仕事をしてもらいたいのであって、無用な喧嘩を買ってでもしているように思えるヤスケンの言説に違和感も感じていた。

その二年後、出版社の営業となった僕は、ヤスケンが悪代官呼ばわりしていた取次の人間と正面から仕事をすることになった。違和感はますます強まった。結局僕はヤスケンの本をほとんど処分してしまった。

そして今、僕は、ヤスケンの発言を誤解していたことにようやく気がついた。あなたの言う通りだとは思わないが、あなたはそうやってペンで正面切って戦う事の力を信じていたのだと思う。それに比べて僕は、自分が編集者でないことに寄りかかっていたようだ。

営業は売るのが商売だと思う。良かろうが悪かろうが、かっちり売るのが仕事だと思いこんでいた。で、そういうことばかり考えていた。が、売りたくないと思う本は断固売らないという選択肢もあったはずだ。

ああ、やっぱりもう少し生きていてくれ、オレにアンタの本を売らせてくれ。

余命一ヶ月(よりもう少しあるらしい)ヤスケンの編集長日記が読めるのはbk1だけ(半泣き) http://www.bk1.co.jp/s/yasuken