仕事と晩飯とその他

日記です。

一進一退ということ

病気というものは治るかに見えて治らない、治らないように見えて実は着実に治っている、そんなことが当たり前なのだろう。一進一退ということだ。それが常ということだ。無論、特効薬なぞによって劇的に快癒することもあろう。けれど長く付き合わねばならぬ宿業のような病に於いては一進一退こそが常の状態だ。その状態と如何に折り合いをつけ納得できぬまでも観念し些細な寛解の兆しに胸躍らせつつその些細な兆しがまた遠ざかろうと甘んじて受け入れやがて快復の過程で訪れる凡庸な日常という幸福の有難みを知る、いや、それを知らねばならぬ長い過程に於いて一進一退であることが前提となるのだ。

驚きの後の安堵には一抹の不安を掻き立てられる。長い長い道程を思えば憂鬱になることもやむを得まい。重苦しくのしかかる希望というものを抱くのか、むしろその希望とやらいう重荷を捨て刹那に生きることで身も心も解き放つのか。道はどちらにも伸び続けているようでもあるが行き着く先は霧に閉ざされて果たしてあるものかないものかすら定かではない。その霧に閉ざされた道とも言えぬ道を一進一退、前も後ろも開かれてはいないが閉ざされているわけでもない。後ろにあるはずの道すら朧に霞み定かではない。

そんなことを思った。