仕事と晩飯とその他

日記です。

ちょっと想い出

小林二郎さんのお通夜へ。前の会社の社長の奥さんの親戚。取次で書籍の口座開いたりムック立ち上げたりした時に随分お世話になった。

「おい、トーハンに行くぞ」っていうからどこに行くのかと思ったらいきなり会長室に行って当時の遠藤会長に「ヨロシク頼む」みたいな話。その後、仕入れのフロアに行ったら遠くのほうの部長クラスが慌てて立ち上がって頭下げてたり。なんか映画の一場面みたいだった。

会社の近所のラーメン屋に当時の上司と三人で行ったなあ。あと、飯田橋の駅の上にあった中華料理屋。摩天楼飯店だったっけか。五目麺かなんか頼むんだけど「野菜抜きでな」って。野菜食わないんだよな。

どっかにタクシーで移動してた時、「こいつ(オレのこと)まだ独身なんですよ」みたいな話を上司が言い出したら「嫁さん紹介してやろうか」って真顔で言われた。いや、もう結婚する相手いるんでって断ったけど、あの時紹介してもらったら違う人生だったのかなあ。

今の会社に移って転職のお知らせ送ったら急に電話してきて「一回顔出しといてやろうか」って。丁重にお断りしたけど、ウチの会社に来てもらっても誰も二郎さんのこと知らないからいいですとは言えなかったなあ。出版業界にいて自分のことを知らない人がいるとかって思ったことなかったんだろうな、あの頃は。

最後にセンチュリーハイアットの近くのすき焼き屋でご馳走になったのは何の時だったかな。よく覚えてないや。

オレは他人に甘えるのが下手だなあ。二郎さんにはもっと甘えておけばよかったよ。でも、他人に甘えられるのは逆に向こうが頼ってきた時にお返しできる自信とか立場とかがないと俺には難しい。だから、こんな年になっても未だに他人に甘えられないよ。

二郎さんにはなんか無理をお願いしてみたらよかったのかもなあ。そしたらきっと大喜びでエライヒト紹介してくれたんだろうなあ。

でも、思い返してみると、前の会社の頃でも二郎さんに紹介されるヒトは偉すぎて現場とはちょっと距離感があった。まあ、しょうがないよ、業界のご意見番ったって、あの頃でもう70超えてたわけだし。

紀伊國屋のことボロクソに言ってたよな。戦後に始めた最近の本屋みたいなこと言ってた。よくも悪くも歴史のある書店の集まりである新風会を背負ってたんだろうなあ。

酒をすっぱり止めた理由は「誰にも言うな」って念押しされたから誰にも言ってなかったけど何年も経って当時の上司と二郎さんの話が出たときに「ああ、あの話だろ」って。皆に「誰にも言うな」って言ってたんだな。なんか、気が抜けたけど二郎さんっぽい茶目っ気みたいなの感じてちょっと笑った。

煙草に白い粉みたいのつけてさ、俺がじっと見てたら、「信じないだろうけど、これつけて吸うと肺が綺麗になんだ。信じないだろ」みたいなこと言ってた。

懐かしいなあ。もう一度お会いしておけばよかった。

お世話になりました。

ありがとうございました。