仕事と晩飯とその他

日記です。

蟻の一穴

例のリストラ本の著者の退職金、噂では5,500万と聞いていたけど5,200万だったらしい。すごいね。

それが多いか少ないかって言うと色んな業界や業種によって受け止め方の違いがある思うんで一概には言えないのかも知れない。でも、オレは多いと思った。すごく多いよ。ウチの会社でも役員の退職とか、つい最近も会社始まって以来の定年退職とかあったけど、とてもとても。恥ずかしながらオレも一応役員なんだけど、例の方の基本給と比べても遥かに下回ってたし。住宅ローンも子どもの学資もあるし、きついよ、オレも。クルマ手離そうかな。

ほぼ同時期に出た『傷だらけの店長』、元店長の退職金は幾らだったんだろう。「いやあ、言うほどの金額じゃないですけど、たぬ○ち氏よりはもらってないですね」とか言いそう。

た○きち氏の退職金の金額を聞いて複雑な思いを抱いた書店員は少なくなかったんじゃなかろうか。いや、既にその前から複雑な気持ちを抱いてる方は少なくないんじゃないかな。

雑誌出してる会社って広告で儲かってるって言うけど、広告で儲かった金って書店や取次にはあまり還元されてないような気がする。儲かっていた時代、利益は偏在していた。で、儲からない時代に突入して、やっぱり一部の利益は偏在している。

何かがおかしい。

今の構図に徹底的に疑問を抱きラジカルに否定する動きが出てきてもおかしくないような気がしている。つまり、「いいよ、この出版社のこの本、ウチで売らなくたってどうせ他で売るでしょ。つうか取次もCVSとか大型店で売ればいいって思ってんじゃないの?」みたいな割り切り、というか思いきり。ある種、現状に対するささやかな反乱。最初は小さな動きでも気がつくとうねりになる可能性はある。自主仕入ってのはそういう可能性をはらんでいる。

今回の本ってそのきっかけになってもおかしくない。

で、よく考えてみると『簡単に儲かる○○の方法』とか『誰でも今すぐ小金持ちになる○○』とか、そういう本を一所懸命売っている書店員がいつまで経っても小金持ちにならない現状に対して「なんかもういいや」と思う人が出てきても全然おかしくない。

おかしくない。

けど、おかしい。おかしいんだ、きっと。

そういううねりが始まりそうな気がしている。

それがいいことなのか悪いことなのか、自分にはよくわからない。

もしかしたら、その向こうにこそ明るい未来があるのかも知れない。

そんな期待もないわけではない。