仕事と晩飯とその他

日記です。

短期勝負だけではないあり方

例の某大手出版社のリストラ話の日記、コメント欄が荒れてるなあ。どうやら同年齢のようなので色々と気にはなりますが……。違うよと思うことも同感と思うことも多々ある中で、営業が数を絞る話については一概にそうとも言い切れないかなあとだけ。営業が増刷の数を絞りたいのは余った時の責任を感じての事だと思うけど、利益を出すためには絞るだけじゃなくて限界まで目一杯作ることも必要だと思うんです(それこそK社の方法論だったはず)。ちまちました増刷だと利益出せるものも出せなくなってしまう。編集に対して売上の意識が云々というのと同様に営業は利益に対しての意識がないといけないと思うんですよ、自分は。だから、作るものは利益を最大にできるようになるべく目一杯作る。利益が出しにくいものも赤にならない範囲で作る。

ただし、中小零細は大手と増刷(での利益)の基準が違うはずです。大手では小さい売上で小さい利益を出してもしょうがないと考える場合もある。零細は小さい売上で小さい利益であってもそれを確保したいと考える。小さい出版社であっても増刷に消極的な出版社も少なくないですが、規模の小ささを生かすなら大手と同じ商売してもしょうがないのになあ。みんなベストセラーを出したがるけど、そうじゃないあり方は意外と手堅いよ。

それはさておき。

増刷のみならず初版についても製造・開発原価を絞るのは、もちろん利益を確保するためです。が、それと同時に、小ロットでの増刷にも耐えられるようにする、つまりは細く長く売るためでもあります。いや、むしろそのほうが小零細にとっては大きい。製造費や宣伝費に金をかけて短期で回収するのではなく、時間をかけて利益を生み出す。そういうスタイルも、一方で出版の真実です。

ところが、店頭では長く売るタイプの商品の立場が弱くなりつつあります。常備というシステムも、主に出版社の使い方がまずいせいで、うまく機能していない。そして何よりも、長く売るタイプの商品の最大のライバルである「もっと長く売れている商品」が無料化の波とともに押し寄せてくる。

電子書籍の時代になっても新刊は出続けると思いますよ。それで食っていく人たちがいる限り。でも、読むほうがその本を選ぶとは限らないですよね。過去の定番商品が復活する時代に、新たな定番を作る努力は不可欠だと思います。短期勝負だけではないあり方、そこを模索しています。