仕事と晩飯とその他

日記です。

元気な出版社や本があっても全体は苦しい その3

 熱心な出版社と営業が書店の売上を支えているという側面は評価できるが、その一方でそれだけでは落ち込みがカバーできていないという現実もある。
 大量に積んで大量に売るというのはバブル期の頃からのスタイルらしい。そう、何人かの先達から教わった。そしてその頃活躍した諸先輩は皆さん一様に書店に大量に並べることの達人だった。
 地味に一冊を長く売ることについても諸先輩から沢山の話を伺った。同じ商品を毎年繰り返し飽きずに売っていく、目先の流行り廃りにぶれないスタンスを確保することの難しさを感じた。
 営業が熱心だから、が商品を置く理由になるのは営業のやり方としてはもちろんありだと思うが、本当にそれでいいのか。顧客のニーズはそこに反映されているのか。いや、営業に熱心さがそちらに向かうのであれば何の問題も無いのだが……。
 昔の書店営業は書店員から教わった。自分もベテランの書店員さんから本当に色んなことを与えてもらった。が、店頭からベテランの書店員が減りつつある現状の中で、出版営業は誰から何を教わるのか。いや、むしろ営業が書店員に教えるべきことが沢山あるのでは、という考えもあるのはわかる。だが、一つ一つの店頭の状況を把握しているのは本来書店員の業務のうちであるはずだ。営業が持ってくる全般的な傾向を吟味しそこに判断を加えるのも書店員の仕事であったはずだ。その関係が逆転しつつあるという現状、その現状そのものに漠然とした危機感を感じている。それは多分、自分ひとりだけのことではない。問題の根は思った以上に深い。