仕事と晩飯とその他

日記です。

初夢

 仕事を失ってしまい20数年ぶりに本屋でバイトすることに。よそよそしさもありながらなんとなく受け入れていただけたことにホッとする。
 レジ横のショーケースの前でスーツの若い二人組みに声をかけられた。
「すみません、このコンテンツ入りSDカードを見たいんですが。」
 ケースには鍵がかかっていないので開けた。
「中身確認できる機器とかあったりしますか。」
と、二人のうちの一人が言う。
「すみません、レジで聞いてきます。」
と言ってレジに向かったところを後ろから呼び止められる。
「ああ、けっこうです。パッケージ開けて大きさだけ確認させてください。」
「いえ、そのパッケージは開かないと思いますが。」
と言ったのだが、既にパッケージは開いていた。
 嫌な間が開いた。
「あれ、中身が無いですよ。」
「え、そんなはずは。」
「でも、ほら。」
と言ってパッケージを私に見せる男の顔が笑っていた。
 とっさに、やられた、と思う。さっきレジに向かったあの隙だ。が、証拠はまったくない。
「盗りましたね。」
そんなことを言ってはいけないのはわかってはいるのだが、つい言ってしまった。
「なんのことですか。」
男はにやついたままそう言った。
 やっぱりだ、と思うがどうにもできないのだ。働き始めた初日にどうしてこんな目に。足が震えた。胃のあたりが熱く滾っていた。
 この後、二人組みの男達の後ろについて店の外まで出る。信号のところで立ち止まった男達をにらみつけるのだが、何の意味もない。何か言いたいのだが声が出てこない。
 店に戻ってしばらく放心していると二人組みのひとり、一度も口を開かなかったほうが戻ってきた。
「普段はこんなことしないんだけど、なんかちょっと気の毒になって。」
と言って男は何かを差し出した。見ると、前の会社で10年以上前に販売していたカセットテープだ。しかもケースからテープが飛び出してぐちゃぐちゃになっている。
 それを手渡すと男は無言で消えた。
 雨が降ってきた。テープをケースの中に戻そうとすればするほどどんどん出てくる。黒い磁気テープは大きな塊になる。それを抱えて途方にくれる。祭事用の白布があったことを思い出して引っ張り出し、塊にかける。白くなっただけだ。雨がその布を濡らす。

 そんな初夢を見ました。

 ちなみに妻は、私が交通事故にあう夢を見たそうです。

 今年はどんな年になるのでしょうか。やや不安です。