仕事と晩飯とその他

日記です。

改めて、ARGフォーラムの感想

詳細は他の方に譲るとして自分は自分なりの感想を(あまりネガティブな気分になってもしょうがないのでなるべくポジティブに)。

個人的には「この先の本のかたち」というテーマに一番しっくり来たのは長尾先生の話に出てきた書物の解体云々の話だった。書物の中に構築された体系だった知識をぶつ切りにしてしまうネットの弊害を日々感じている身としては、断片としての知識を集約するための方法論としての電子化及びそれによる書物(と知識の体系)の解体(解放?)という概念は、単なる逆転の発想というだけではなく、目からウロコ的なものであった。つまり、我々の知は書物という形態に縛られていたかもしれないという単純な事実にようやく気がつかされたのだ。
知を書物という形態から解放すること、それはハイパーテキストという概念を包括しながらさらに先鋭的な知のあり方を暗示している。WWWそのものが既に巨大な電子図書館であるという指摘もあったが、過去の膨大な蓄積=書物という檻に捕らわれた知、の解放は今までの知の体系を根幹から揺るがすかもしれない。そんな壮大なビジョンにちょっと震えた。

とか、なんかそんなことを思った。

韓国の現状と実践は面白かったが日本での実現に向けて現段階では当事者ではない自分がそことどう関わるかが課題。

津田さんは音楽業界ではなく出版業界のヒトだったんだな。好感度さらにアップ。

著者10割=出版社不要論のほうがインパクトあった気がする。物流とか受注・在庫管理・広告宣伝のコストは? とか言われそうだが、要は電子書籍における著者to読者の可能性を提示したほうが、反発は受けたかもしれないが、より面白かったかも。具体的なひとつの可能性としてパブリックドメインの再配布とかに触れて欲しかったな。古い、まさに書籍という形態を前提としたテキストが書籍から脱して流通される、いつでも無料で再入手可能な電子図書館があれば個人での保管など考える必要もないし、逃避先としての図書館が物理的な建物ではなく仮想空間であるってほうが「この先の本のかたち」っぽかったかな、とか。

「50代以上不要」発言については、未来を単なる世代論としてしまうことには明確に反対。未来は若いヒトのものと思っていると次の世代に追い越される。未来は、それがどの程度先までかの違いはあれ、今を生き抜く私たち一人一人の問題だ。年齢は関係ない。