仕事と晩飯とその他

日記です。

顧客のニーズ

<a href="http://d.hatena.ne.jp/chakichaki/20090507">本屋のほんね</a>で「人文書が売れない」問題に関する小田氏(『<a href="http://www.ronso.co.jp/netcontents/chronicle/chronicle.html">出版状況クロニクル</a>』など)の論点に対して「顧客の視点」からの反論の試みが為されている。以下、一部を引用。

-- 実際のところは、人文書は売れなかったから郊外型書店には置かれていないだけであって、単にその書店はお客様に合わせて品揃えをしているだけのことなんじゃないでしょうか。
-- お客様の需要があってこそ、品揃えがあるわけで、血液型の本やケータイ小説がベストセラーになるのは、それを求めるお客様が増えただけのことだと思います。
-- ツタヤやブックオフやアマゾンが伸びているということは、それだけ多くのお客様の支持を受けているということですが、

顧客のニーズに合った品揃え・商品構成が形成されていく構造はアマゾンやブックオフにおいては顕著だ。それに比べるとツタヤの品揃えはまだ出版社の影響を受けている。

ここで重要なのは、出版社と顧客である読者との間に乖離があるのではないかという指摘であろう。

自分が最近感じていることを要約すると、「(出版社が大量に供給する)新刊を読者はもう(あまり)求めていないのではないか」、ということになる。読み切れない量の新刊を追いかけるよりも既に出ている本で充分なのではないか。もちろん、コミックや小説でもシリーズなどの流れの中で最新刊を追いかけている動きはあるわけだが、それもマンネリ化が逆に心地よいようなファン意識を踏まえると全くの新刊とは少し違う気がする。

多分、本を沢山買わない読者は話題の本や店頭に並んでいる本以外の本を知らないだけなので、そこに対しても既刊を有効に提示できれば違う結果が得られるだろう。実際にそれを行うのは難しいことを某社の試みでよく理解したが、それでもまだ可能性はあると思う。なぜならブックオフという「廉価版」の流れが存在するからだ。

定番の廉価版の可能性が推測される。昔の岩波文庫か。ある意味、王道とも言える。古典の新訳もこの流れか。

それにしてもほとんどの新刊が「要らない」と読者に思われているかも知れないという可能性を考えると憂鬱になる。定番に値する本を持っている社はいいが、そうでなければ厳しい。大淘汰というが、勝負は既についているのかも知れない。