仕事と晩飯とその他

日記です。

ポニョ(ネタバレあり)

ポニョ、最初から最後まで、予想以上に楽しかった。

これだけたくさんの人が見ている映画だと色んな意見があるのだろうが、自分には終始一貫して「初めての恋に落ちた娘にオロオロしている人魚姫の親父の視点」の映画のように思えた。ポニョの姿が魚から人間に変わっていくのも、親父の言うことを聞かずに宗介君と食べたハムを食べたいと言い張るのも、恋の荒波を突っ走る娘を止めようとするのも、初めてのお泊りの宗介君の家まで訪れてしまうのも、ポニョの恋を応援する母親や妹達にうろたえるのも、世界の終わりを言い出すのも、娘にふさわしい相手か見極めるための試練を与えようとするのも、場面だけでなく道具立ての何もかもが娘を嫁に送り出す父親の心境をそのまま表しているように思えた。もっと言うと、ポニョがあんなに可愛いのも魔法が使えるのも、父親にとっては当たり前の話だ。親は子どもに魔法をかけられっぱなしだ。辻褄なんかあるわけない。娘のことが心配でこの世の終わりぐらいに思い込んじゃってる父親に論理もへったくれもない。

月とか海とか、メタファーとしての意味を感じないわけではないが、それよりもフジモトさんが最後に宗介君と握手をして「娘を頼みます」だよ。何もかも、結婚式当日の親父の妄想。そして最後に流れるあの歌がお父さんとこどもがお風呂で歌っているイメージだと言うのも、もうそれ以外はありえないのだとオレはそう理解した。娘が嫁に行った後、風呂場で思い出すんだ、子どもの頃一緒にお風呂で歌ったこと。ちょっと泣けるよね。いい映画だと、オレはそう思うよ。