仕事と晩飯とその他

日記です。

ランキング問題についての疑問など その6(追加)

「でるべん」での質問用メモ。その6(その3で触れた客観的な指標について)

【ロングセラーという宝】短期勝負の「ベストセラー」のための方策と長期で勝負する「ロングセラー」の方法論、出版業界は長らくこの二本立てで来ていた。規模が小さくてもベストセラーは出ることがあるし、大手だから短期勝負ということでもない。ベストセラーの方法論は「ランキングを操作してでも」というものを含むマーケティング・配本・営業による押し込みなど供給側の論理全開だが、ロングセラーの方法論も棚(平積みでないところがポイント)を確保するための常備や定番や営業の人柄(?)など、供給側の論理全開であることに変わりはない。出版社の営業が他社の本をお勧めしたりというのは悪くは無いと思うが、他者の本だけじゃ商売にならない。そう、本屋と出版社の営業の最大の違いは「書店は売る本を選べるが出版社の営業は売る本を選べない」ということ(だからこそ企画段階で編集にうるさいこと言うんだ)。
それはさておき。
ベストセラーのきっかけとなる話題づくりやランキングには操作の可能性が多々含まれているが、ロングセラーはそうでもない。短期勝負で回収したいマーケターはロングセラーでどうこうとは思わないようだ(ちなみに数年売れた、とかはロングセラーとは言えない。児童書は親子孫の三代を意識しているそうだ)。
ここに本屋に置いておくべき客観的な指標が成立する可能性がある。ランキングというとどうしても週とか月とかリアルタイムとか短い期間を意識してしまうが、自分は「10年ベスト」とか「オールタイムベスト」という「ランキング」に可能性を感じる。
「そんなんじゃどこの店に行っても同じ本しか並ばなくなるんじゃないのか}という声が聞こえてきた。確かに。

「でも、それのどこがいけないんだ?」

時代を切り取る出版があってもいいのと同様、10年20年読み継がれる本を作る・売ることをめざす出版があってもいい。

そして、そういう本は多分本屋で手にとって買うことになると思うんですよ。

いや、センチメンタルだとは思わないですよ、全然。

10年ベスト、有りだと思うんだけどなあ。「新味が無い」って言われそうだけど、初めて読む人には古い本だって新作と一緒だと思うんだよなあ。流行ってるみたいじゃん、『蟹工船』とか『カラマーゾフの兄弟』とか。要はそういうことです。