仕事と晩飯とその他

日記です。

ギョーカイの本

非常に現実的な話と勝手に考えてみた話。

その業界の中にいる人々にしてみると具体的な方法論についてのニーズは間違いなくある。が、具体的であればあるほどターゲットは絞られる。そうなると当然、ニーズの規模は業界そのものの規模より大きくなることはないと考えるのが自然だ。

例えば、自動車産業と大雑把にくくることはできるがその中で求められる具体的なノウハウはかなり細分化されている。結果的に具体的であればあるほどパイは小さくなる。

出版業界本が出版業界で話題になるのは当たり前だがそれが具体的であればあるほどターゲットは絞り込まれる。業界の規模も小さいので具体的なハウツー本のニーズは多くて数千ではないかと思われる。過去の例から見てもそんなに外れてはいないと思う。

一般的に仕事の話で売れる本というのは営業向けでかつ色んな業界で横断的に使える曖昧なノウハウであったりする場合が多い。「営業にも色んな営業がある」みたいな話で業界を絞らないから対象は随分広がる。

自己啓発本の場合も大抵は一つの業界に絞り込むのではなく「私がであったこうした業種の方は……」といった感じで話を広げていく方向に向かっている。そして具体的なノウハウはどうかというとかなり一般化された根性論であったりコミュニケーションの心得であったり。

いや、それを非難するつもりはまったくない。

特殊な業界の面白おかしい体験談(同じ業界で働く人間に向けた具体的なハウツーではないところがポイント)が幅広く読まれることもないわけではない。その業界をめざす学生やその業界への転職を夢見る人々の漠然とした憧れや好奇心を刺激できるようなものであれば対象は大きく広がる。いわゆる業界本が数を積み重ねるためにはそこを狙うしかないような気もする。

具体的な本は難しい。内容について真摯で誠実であればあるほど読者対象が減っていくという必然。どっちかというと浅い本のほうがとっつきやすくて売れてしまったりするという矛盾。さらに仕事についての具体的なハウツーは古典にはなりにくい、仕事は時代と共に変化するから。本当に難しい。難しい。