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日記です。

書誌情報の意味 その4

使う側から見るとオンライン書店の書誌情報=品揃えと言える。情報に漏れがあると「品揃えが悪い」感じがしてしまう。漏れている書籍の売上は大勢に影響ない程度のものだ。が、そのわずかな例外が品揃え感を左右している。

リコメンドやアフィリエイトがアマゾンの優位性である(あった?)ことは間違いないが、普及の段階では、書誌情報=品揃え、についてのわずかな差がユーザーを捕まえたように思う。

あくまで知り合いの範囲ではあるが、出版社の編集者でアマゾンでしか本を買わなくなったという人の話を聞く。本のヘビーユーザーであるだけでなくメーカーサイドの人間がアマゾンを使う理由は何か。話を聞くとたいてい検索と在庫という返事が返ってくる。出版社の人間が検索する際は「こういう本が入手可能か」といった形で調べることが少なくない。つまりその本が存在することは既にわかっているうえで調べている。その時に検索結果が「存在しません」になってしまうと「使えねえな」という話になる。

これは編集者に限った話ではなく本をオンライン書店でたくさん買うヒトに共通している感覚ではないかと思う。

書誌情報のわずかな差を前提にしたうえで他の機能やポイント等の有利・不利が問題になる。言い方は悪いが「品揃えはイマイチだけど気に入ってるから」といった感じ。この感じはターミナル立地の中規模書店に似ているのかもしれない。自分の趣味嗜好に完全にマッチした本は期待しないけどライトな流行りものなら大丈夫。

もちろんネットでも書籍の範囲を限定した、リアルで言うところのセレクトショップ的なものは可能だろう。リアル書店は物理的な限界があることを前提としているから品揃えについてお客さんが妥協してくれる面は大きい。が、ネットで総合書店ということになると途端に情報の漏れに対して風当たりが強くなる。ネットでデータベースを公開する以上、書誌情報に「この程度でいいか」はない。

書誌情報の一元化はJPOで行われている。書誌情報を介して書店と取次と出版社の関係性が再構築される可能性もあるということを踏まえた上で、オンライン書店がもっと積極的にそこに関わってくれることを期待している。(終わり)