仕事と晩飯とその他

日記です。

古いもの大きいものが悪って単純な図式でもない。

既得権を批判するのは簡単だけど、それを得るまで過程や、そもそもなぜ権利を主張しているのか、といったことを考えずにただただ「大手は」「昔からやってるところは」とか言ってもしょうがないと思うんだけどなあ。

出版業界の特殊性ってのもまあ確かにあるとは思うけど、他の業界も特殊なことなんて山ほどあるようですし。

小規模の小売の衰退ってのも他の業界では既に通った道で、逆に書店はここまで頑張って生き延びてきたのかもしれないじゃないですか。いや、むしろ他の業界に比べると比較的生き残りやすい体質だったのかもしれないです。その辺はわかりませんが、メーカーの寡占化が進んでいたらもっと早くに状況は変わっていたのかも知れません。

メーカーの寡占化についても、この業界は中小零細のメーカーに優しい業界なので数名でやっているメーカーが生き延びられているんじゃないでしょうか。

大手とか中堅どころから独立したヒトが業界に対してグチばかり言ってるのって不思議だけど、大手にいる頃は中小の惨状なんて想像もしなかったんだろうな、きっと。

いや、オレんとこも小さいけど老舗なんで「新規版元の苦労なんてわからんだろうが」って言われるかもね。でも、ウチはウチでヒトには言えない苦労もあって、そんなのは業界に対してのグチしか言わんヒトは想像もつかんだろうね。

結局さあ、新規参入ってのはどの業界でも不利なんじゃないの。既得権益の存在しない業界ってどこ? IT関係はありそうだけど、それでも先行者メリットみたいなのはよく言われるじゃん。ま、ITの場合は先行したから有利とも限らないところが難しいところなんだろうけど。

逆にね、出版業界は参入障壁が低過ぎるから新規参入がボコボコと発生するんじゃないの? 設備投資も何も要らないじゃん。人員だってその気がありゃ一人でできるわけだし。

参入障壁が低過ぎてメーカーが乱立しているってのは今の出版不況のかなり直接的な原因の一つだと思っている。業界で業務に関するフォーマット統一しようとしても老舗も新規も主張ばかりでまとまるモンもまとまらん。流通の問題だって「規格化」ってのは一社にとっては重要じゃないかもしれないけど全体のコストを考えたら影響すごく大きいんだってばよ。

まとまるってことはやはり想像以上に重要だ。わずかでも影響力というものを持ったという実感が伴いだすと視点は変わる。