仕事と晩飯とその他

日記です。

著者も編集も気にすんな。営業は気にしろ。

<a href="http://aruhenshu.exblog.jp/4110897/">『「売れない著者」の本に、「売れる理由」を考えるのも僕らの仕事である。』(ある編集者の気になるノート)</a>経由で<a href="http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2006/07/post_d183.html">『「うつうつひでお日記」に見る物書きにとっての恐怖』(たけくまメモ)</a>

編集も営業も自信がないので「他社での売行き」というのを言い訳にしている部分はあります。でも、一般的なレベルで「話題になってるのかも」と思われるほどの売行きの本なんて年間7万点の出版点数の中の一握りの奇跡のようなものですから「売れている本しか出さない」という出版社は出すものなくなりますね。ま、「売れている」の基準をどこに置くかの問題もありますが。

実際はもう少し複雑だと考えています。

他社の営業戦略などを理解したうえでの営業的に正しい他社データの見方の提案です。
「この著者の本はあれだけの宣伝の結果としてこれだけの売行きだが、それと同じ宣伝を自社ではできない(だから諦める)」「せっかくこんないい企画なのにこの会社は売り方の部分で甘さがある。ウチで出したらもう少し数を乗せることは可能だ」「配本どうなってんの? 並んでないと売れないよ。ウチでやるなら配本から全部見直して……」

著者の傾向と内容についての把握を前提とした編集的に正しい他社データの見方の提案です。
「この著者の本はオレが編集する場合にはもう少し内容的なこの部分に気を使って作ることになる。そうするとデータで出ているこの本では取り込めなかったこのあたりを読者層として取り込むことが可能になる」「単純に誤植が多すぎる。編集は何やってんだ?」「この内容でこの装丁なのにこのタイトルはいかがなものか。タイトルが○○なら売行きは大きく違っていたはずだ」

一部の大手出版社の編集者は実際にこういう視点でデータを見ているはず。中小零細にとってみると長い時間かけて世に問うた企画をさらわれていくようで危機感を感じる方も多いはずだが、逆に「宣伝に金をかけられない」と大手が放り出した過去のビッグネームを発掘することも可能なわけです。面白いですね、実売データ。