仕事と晩飯とその他

日記です。

売れていないのにも理由はある。

本屋大賞」、場違いかもしれないが顔だけ出そうかな。しかし、一言に出版業界って言っても出してるモノも売り方も会社のあり方も本当にバラバラだ。自分の中での出版社の定義としては「作った本を本屋で売るのが生業である会社組織」だ。内容が文芸だろうが学術だろうがエロだろうが子供だましだろうが「本屋で売る」のが基本スタンスであるところの出版社に対して最も近いモノを感じる。だから、「本屋で無理して売らなくても儲かる(自費出版)」「本屋には無理して流さない(図書館などのみ対象の学術出版や名簿など)」にははなはだしく違和感を感じるし、「本屋大賞」に親近感を感じたのも多分「本屋を盛り上げたい」というその一点に尽きると思う。

さて、「本屋で本を売る」ためには多くの場合取次の存在が重要だが(不可欠ではないが)、取次はケチをつけられることばかりで褒められることはまずない。裏方ってのはそういうもんだと思うが。出版社だって編集者は有名だったりするが、営業で有名な人は稀だ(が、スゴイ人は多数存在する)。さらに言うなら倉庫会社や印刷会社、どんなモノでもそうだと思うが、製造・販売の過程には諸々の人々が関わっている。

それらの全ての人々をイチイチ取り上げて、なんてことは不可能だと思うが、なんとかして著者は勿論だが、それらの人々にも何かを返したい。そう考えれば考えるほど「売れる」ということはより重要だ。脚光を浴びる浴びないに関わらず、本が売れさえすれば、多くの人と金銭的なメリットのみならず仕事に対する満足感すら分け合うことが出来る。

だからこそ、「もっと売らねば」と思うし、もっと売るための方法を探し、実行するのだ。その結果として数字がついてくる。

と思っているが甘いのかなあ。たまたま理由があってある数社(そこそこ名前の知れた社も含む)分の実売データを集計していたのだが、正直言って恐ろしいほど売れていない。新刊はある程度売れているのだが、出てから半年とか一年を過ぎた本の悲惨な実態。本そのものの寿命が尽きたのではなく、ただ単に販促期間が終わってしまった、そしてそれ以降の販売のための方法論を持たないという現状。

売るための方法論は「現場」にあるのだが、現場は本屋だけではない。取次にも倉庫にもネットにも社内にもヒントは転がっている。煮詰まったらまず本屋や取次や倉庫に行こう。道は必ず開ける(はず)。