仕事と晩飯とその他

日記です。

他がやれていないことをやることにも大いに価値はある

先日の企画会議で、弊社としては初めて過去の売れ筋商品の作り直し(判型を変えたうえで内容も改訂)に取り組んでみることになった。その際、編集長から「これを出すことによって過去の商品(作り直す前のもの)が返品になってしまう可能性があるが、そのリスクはこの商品の採算性を考慮する際に織り込むべきではないか」との発言があった。

とっさに思ったのは、単行本を文庫化するような場合、多くの出版社が同様の問題を抱えているはずだ、ということ。が、文庫化することによって再度売上が、という話は聞くが、それによって単行本が売れなくなる、という話はあまり聞かない。単行本の寿命が短いということもあるのだろうが、そこまで考えていないというのが正解なんではないかと思う。

「そこまで考えてないから出版不況なんじゃないかな」

確かに一理ある。営業も編集も非常に刹那的なだけでなく、あまり考えていない。非常に耳が痛い。

「商品を一つのプロジェクトとして捉えなおしてみれば、それによって発生するリスクを織り込むのは当然じゃないかな」

確かに今であればPOSデータなどを基にかなり正確な市中在庫の推定も可能だ。市中在庫がわかるということは返品の最大値が予測できるということである。また、納品は100%捕まえているわけだから、将来の納品減も予測可能だ。つまり、改訂版などによるリスクはある程度は予測可能だし、それはけして難しい話ではない。

そこまで考えなければいかんのか、と思う反面、他がやっていないからこそやるべきなんだろうな。

とは言うものの、ここしばらく「読者に待望されているような本は売れる」という例をさんざん聞いたせいで、結局出版社の努力は中身に尽きるのではないか、という気もしているのだが……。