とても悲しい

カメが死んだ。長生きして子どもが家を出た後も一緒に過ごすはずだったのに。しばらく前から自力では食べていなかったので最近は妻と交代で温浴させながらコマツナとカルシウム粉末と砂糖とレタスをミキサーにかけて作ったドリンクを飲ませていた。動き回らずエサも食わずぐったりしてはいたが、なんとか生きながらえてはいた。回復を願い続けていたがダメだった。今日は無理させすぎたのかも知れない。温浴のあと状態が急変し、口を半開きにしたまま全く動かなくなった。心配で心配でたまらなかったがしばらく経って子どもが寝てから妻に伝え、ダメだろうと思いながらももう一度だけと思って温浴させてみた。既に手足は硬くなっている。お湯が顔にかかってもいつものように頭を引っ込めることもしない。子どもが起きてきて不安げにカメの顔を覗き込む。もう死んでいることを伝えると何も言わずに布団に戻った。ついていった妻にはもうカメは飼わないと言っていたそうだ。カメにも子どもにも可哀想なことをしてしまった。一所懸命にレタスやコマツナを食べている姿を思い出す。リクガメは本当に可愛らしい生き物だと思う。今年の冬は寒い。温度や湿度にもう少し気をつけてたら……。命に「もしも」はない。とても悲しい。

翌朝、プランターに埋めた。上から水をかける時、冷たい水が嫌いだったことを思い出したら泣けてきた。ごめんな。