仕事と晩飯とその他

日記です。

自費出版考

従来の形態の出版社が自費出版に手を出すのはなかなか難しいのかもしれない。お客さんが読者から著者に変わるからと思っていたが、どうもそういうのとも違う。今までは読者読者と言いながら実はそれほど読者のことなど考えなくても作れるし売ることもできるという感じだったのが、著者様がお客様になってしまうとそのご意向を全面的に反映するために云々かんぬんとかって話になる。どうもその辺りが難しさみたい。というより、極端な話、従来型の出版は「編集者が作りたいものを作る」も「営業が売りたいように売る」も可能だった。読者との距離感があるからなのかもしれないけど、確かにそうだ。それに対して自費出版ではそれが急に難しくなる。クライアントの意向が入った途端に色んなことが窮屈になる。というか、窮屈に思えるようになるっていうか。まあ、好き勝手できなくなるわけで、それってやっぱり今までのやり方に慣れてた人からしてみると難しいんだろうなあ。ウチも無理だな。それはともかく、どうやらこのあたりはある程度一般化できそうだ。パトロン(スポンサー)が少なくて近くて口数が多いとやりにくい。逆に多くて遠くて口数が少ないとやりやすい。画家だと画商が間に入ることによってスポンサー(買ってくれる人)との距離を得られる。出版社の場合は読者の数は多くて距離は遠いし口数が多くてもあんまり直接的じゃないからそういう意味では非常にやりやすいんだろうな。ところが自費出版は通常はひとりだし距離は近い、これで口数が多いクライアントってことになるとけっこうハードだ。どっちが気が楽かって言うとそりゃ間違いなく今までのやり方でしょ。昔から部署なり会社なり分けてやってるところはともかく従来型の社がその姿勢のまま自費出版的なビジネスを取り込もうっていうのは難しいんだろうなと改めてそう思う。ということでウチはやっぱり手出さないほうが正解なんだな。そうだな。