仕事と晩飯とその他

日記です。

連載:出版不況の原因は何か(第5回)

 本日も出版業界が肥大化を続ける(続けた)事情について考えます。あくまで私見です。

7.「目立つ力」が発揮できる場
 出版業界の規模はパチンコ業界より小さいというのは有名な話ですがトヨタ一社より小さいというのはご存知ですか。その中に4千とか5千と言われる出版社(実際にアクティブ=年に一点以上刊行している出版社は2000を切る程度と言われていますが)があり、そこに色んなヒトがぶら下がっています。そんな小さな業界なのに昔も今もけっこうな関心が持たれている。だから、それに関わる全てのヒトビトが、なんとなく持っている小さな誇りのようなものを満足させられる機会を与えられています。自分の仕事に関心を持ってもらえる、それだけでもけっこう幸せな話です。その満足感や幸福感に裏付けがあるのかどうかは定かではありませんが、そりゃ辞められませんよ。
 中からも外からも多くの方に愛されていること自体はとてもいい話だと思います。ですが、その愛にどうやって応えるべきか、反省点は明確ではないかと思います。

 出版不況の原因のひとつを業界の肥大化による「供給過剰」としたうえで愛され体質の出版業界が肥大化してきた理由について考えてみました。
 実際には、ここ数年、トータルでの頭数はさほど増えていないはずです。もしかすると減っているかもしれません。破綻する会社や規模を大幅に縮小して生き残りを図る社も増えてきました。団塊の世代の引退の影響もあります。新卒や中途採用についてもさすがにどの社も減らしているようです。
 これから先、書籍の電子化によるコスト減と価格減=売上減が予想されます。現在の規模を維持するためには国内市場だけに頼らず国際市場へ進出するという戦略もあると思います。が、多くの出版社はやはり国内市場を前提にせざるをえません。規模の縮小を前提とした戦略的な合従連衡は必須であると言えます。欧米であった出版社の統合・グループ化が日本でも行われるはずです。

 出版業界が肥大化を続ける(続けた)事情についてはとりあえず以上とさせていただきます。

 明日からは「本との出会い方の多様化」によって本が売れなくなった理由を考えてみます。
(第6回に続く)