仕事と晩飯とその他

日記です。

連載:出版不況の原因は何か(第4回)

 本日も出版業界が肥大化を続ける(続けた)事情について考え続けます。あくまで私見です。

5.頭のいいヒトは気楽
 この業界はバカばっかだと苦言を呈する頭のいい方も少なくないのですが、そういう方にとっても実はこの業界とても居心地がいいんです。自分の地位を脅かされるんじゃないかって切れ者ばかりの苦みばしった世界よりのほほんとしたバカばっかの世界は適当にやって何とかなっちゃいますからね。協調はあっても厳しい競争なんてないしバカは何日か付き合ってりゃ慣れます。愛嬌もありますから。だから頭のいいヒトもいなくならない。頭のいいヒトはもっと儲かる仕事を見つけりゃいいじゃんと思いますが、この業界には金儲け以外の面白さがあるんですね、やはり。ということでとにかく誰もこの業界を去りません。どこまでいっても膨らみます。

6.憧れの安い労働力(これに触れるのはやや気が重いです。)
 出版不況と言われる中でも頑張っている社は徹底的にコストを抑え一人当たりの製造点数を増やして効率を上げています。そうした社の中には人的なコスト削減にちょっとした工夫を行っている社もあります。
 この業界に憧れる新卒や第二新卒に近い若者を安い賃金で長く定着しないように使い回すのが人件費抑制の「ちょっとした」工夫です。中には新入社員は弟子扱いで、勉強させてやってるんだからこっちが金もらいたいぐらいだよ、という勢いの社もあったりします。確かに徒弟制度的な面があるのは否定できませんが……。
 出版で言う大手の下手すると1/3ぐらいの格安の賃金で使い回された若者はこの業界の経験しかないうえに色々と勉強させてもらったと本気で思っていたりするようです。なので当然この業界に残ろうとします。というか残ります。大手も大変ですよ、格安の賃金でも気持ちだけで頑張り続けるそういった社とコスト面でどうやって勝負しろと(どうにかして給与水準を下げるかヒトを減らすしか手は無くなりつつある気もしますが)。出版大手の「既得権」がよく指摘されますが、もし全部の社が同じ取引条件になったとしても、大手(というか世間一般)の給与水準を実現できない社は多いはずです。要はブラック企業なみということです。色々な意味でけっこうツライです。

 次も出版業界が肥大化を続ける(続けた)事情についてもう少し考え続けます。あくまで私見です。
(第5回に続く)