仕事と晩飯とその他

日記です。

連載:出版不況の原因は何か(第3回)

本日は出版不況の原因のひとつである「供給過剰」がヒトの増加によりもたらされたと考える理由の続きです。

3.自分でやってもなんとかなる
 外部委託しなくてもできます。が、コスト的にはどうでしょう、外部に委託したほうが安いかなと思うこともないわけではありません。それと問題は質ですね。自分でやって質を維持するのは意外と大変です。が、まあ、やろうと思えばたいてい自分でできます。
 取次があまりやってくれなくなったという嘆きを聞きますが、それなら自分でやればいいだけです。宅急便やネットを使えば発送も宣伝も従来の枠組みにこだわらずに組み立てられる。e託使えばアマゾンでも売れる。儲かるかどうかはまったく別ですが、従来のシステムによらない書籍流通も始めるだけなら簡単に始められます。最近のひとり出版社はこっちが多いかな。
 書店に対する営業については自分たちの頑張りが顕著に出ます。出版社が頑張ればモノは並ぶしそこそこ売れるわけです。これは相変わらず有効です。でも、頑張りが効くっていうのもよくよく考えるとおかしな話ですよね、読者のニーズはどこに反映されているのでしょう。読者が欲しい本じゃなくて出版社と書店が売りたい本が並んでるのかもしれないですよ、書店には。頑張る余地があるならヒトも金も注ぎ込んで頑張るか、となるのは必然です。(ちなみにこの頑張りのある種の極北が先日吹っ飛んだG社ですね)。だから膨らみます。

4.バカは愛される
 この業界はバカ好きですね。業界バカというかそういうのだけじゃなくとにかくバカは愛される。なんか色々とバカに至るドラマとかも感じたり共感もあったり。多分、愛され体質だけでなく優しさに満ちた業界なんだと思います。居心地はいいです。なので誰も離脱しません。出版社のリストラや自壊現象は実は随分以前から始まっています。が、そこでふるい分けがあっても皆この業界を離れません。出版社を起こすヒトもいますがフリーのライターやエディター、営業代行などを始めるヒトもいる。結局、リストラしたヒトに仕事をお願いしている社なんて沢山あったりする。人件費が少し削減できても頭数が減るわけじゃない。ますます膨らみます。

 次も出版業界が肥大化を続ける事情について考え続けます。あくまで私見です。
(第4回に続く)