仕事と晩飯とその他

日記です。

連載:出版不況の原因は何か(第2回)

(7回のつもりでしたが文章を見直していたら分量が増えてしまいました。とりあえず回数は未定でしばらく続けます。)

本日は出版不況の原因のひとつである「供給過剰」がヒトの増加によりもたらされたと考え、その理由をもう少し掘り下げてみます。

1.参入が容易
 机ひとつあったら始められる商売とよく言われます。事実、その通りです。今は机も要らないかもしれない。電話一台で始められる。ISBNコードなんて誰でも取れます。出版社記号持ったら出版社です。著者になんて誰でもなれます、自費出版やってる出版社に金払えば。取次口座もコネや伝手や粘りで何とかなるし、書店営業は面倒なら取次に配本だけ任せたっていいし自分で頑張ってもいい。とにかく始められるんです、要は(売れるかどうかとか事業として継続できるかどうかは別です)。何の資格も経験も知識も要らない。資金もそれほど必要ない。外部からの参入も少なくない。インターネットの勃興より少し前にはIT系の企業が出版に進出する例も多かった。最近でも進出や撤退は少なくありません。どんな話題でも世間で潮流になるほど盛り上がれば関連の出版社も増える。会社は消えることもあるがヒトは残ることも多い。だから当然膨らみます。

2.自分でやらなくてもなんとかなる(なった?)
 だいたい自分で書けないから著者見つけてきて書いてもらうってヒトもいるぐらいで、とにかく出版社は自分たちで直接やらなくても成立することが昔から沢山あります。著者はもちろん、編集も制作も営業も広告宣伝も在庫管理も流通も全て外部委託可能。それだけ外部スタッフ、つまり関わっている人間が多いということでもあります。取次なんて配本や流通だけでなく営業までやってくれる(くれた)んですよ、しかも全国津々浦々の書店だけでなく図書館や外商部にまで。過去のひとり出版社が成立していたのはそういうわけです。取次に甘えたらなんとかなっていた時代は長かった。皆まだ夢見てるんだと思います。だからまた始める。それだとやっぱり膨らみます。

明日もヒトの増加の理由を考えてみます。
(第3回に続く)