仕事と晩飯とその他

日記です。

道徳、かあ……

カントなんて結局全然読めてないんだけど、そんな本を持ち歩くだけでも格好いいと思っていた高校生の頃に斜め読みした『道徳形而上学原論』って本のことをたまに思い出す。道徳ってのはそれでなんかが報われるってことを期待してちゃいかんのだってな話。『走れメロス』読んでて思うのも同じ感じ。儲けたいとか褒められたいとか友のためとか名誉のためとかそんなんじゃなくてもうなんつうかとにかくメロスは走り続けんのよ。わけわかんないの。『サボテン・ブラザース』見ても思う。何ですごすごと逃げ出さないで戻っちゃうわけ? いやコメディ活劇だからそうじゃなきゃ話が進まないんだけど、なんかそれってもう名誉のためとかじゃないのよ。やっぱりわけわかんない。同じ脚本家のランディ・ニューマンが書いてるピクサーの一連の映画『トイ・ストーリー』や『バグズ・ライフ』もそう。もうね、子供向けの映画だから当然なんだけど、きっかけは「バズを助けろ」とか「村を救え」のはずなんだけど、途中からなんかもうそんなことではなくて何かに突き動かされちゃってる。ウッディを助けるシドのおもちゃ達とか虫のサーカス団(ノミの団長だけはショーだと思い続けてハッスルしてんのがおかしい)とか。もう本当にわけわかんない。でも「それでいいんだよ」、いや、むしろ儲けたいとか褒められたいとか思っちゃダメよってのがカントだよなって理解なんだけど、間違ってっかな、オレ。

自分で面白いと思う映画の共通点はその辺だよなあ。『ハーダー・ゼイ・カム』は行き所がなくて煮詰まってる感もあるけど抜けちゃってる気もするし。善行ではなく悪行に向かっちゃうんだよなあ。『テルマ&ルイーズ』も悪行に向かってっけど、それを超えるなんかがある気がする。『フィッツカラルド』とか、もう何に突き動かされてるのかだけじゃなくてどこにたどり着こうとしてるのかすらわからない(文字通り)。『恋に落ちたシェークスピア』にも似たもの感じるなあ。創作の原点に潜むわけのわからない衝動が若き日のシェークスピアを走り回らせる(文字通り)っていう青春映画(だとオレは思ってるわけですが)。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクも『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャックもそう。そういえば『Uボート』。せっかくジブラルタル海峡越えたのに。報われないって意味では『Uボート』は悲惨だよ。本当に。